禅の視点 - life -

禅語の意味、経典の現代語訳、仏教や曹洞宗、葬儀や坐禅などの解説

砂遊びの喩え ~執着がなければ苦悩は生じない~

砂遊びの喩え ~執着がなければ苦悩は生じない~ 仏教、つまりはブッダの教えというものは、ブッダ自身の「苦悩」から始まり、苦悩からの脱却を経て、同じように苦悩する人々へ、いかにして救いの道を説くかという段階に至って「仏教」となりました。自分が…

人生はビールのようなもの 

人生はビールのようなもの 二十歳そこそこの頃に飲んだビールの味というのは、決して「美味しい」といったものではありませんでした。苦いとしか思えず、どちらかと言えば「不味い」に分類されるもの。多少無理して飲んでみても、酔っ払うというよりは気持ち…

生前戒名に関する誤解【生前戒名希望者必読】

生前戒名に関する誤解 先日、知り合いのお寺へちょっと手伝いに行ってきましてね。檀家さん数名に生前戒名の授与をおこなうから式の手伝いをしてくれないか、との用件でした。お彼岸の最中でしたけど、ちょうど時間のとれる日でしたので伺いました。やっぱり…

【禅語】愚の如く魯の如し ~愚直という偉大な生き方~

愚の如く魯の如し ~愚直という偉大な生き方~ 「偉大な大工は、誰も見ないからといって、キャビネットの裏側にひどい木材を使ったりはしない」 これ、スティーブ・ジョブズの言葉なんですってね。誰からも見られないところや目立たないところだから、手を抜…

永平寺の雲水になるための関門「旦過寮」

永平寺の雲水になるための関門「旦過寮」 山門の話を読んでいない方は、まずはこちらをどうぞ。www.zen-essay.com 永平寺への入門が許されると、新米雲水は山門をくぐって永平寺の内側へと足を踏み入れます。ようやく、といった安堵の気持ちが湧きますが、と…

永平寺への入門

永平寺への入門 私が永平寺で修行をしたのは、もう10年以上も前のこと。曹洞宗には本山が2つあって、福井県の永平寺と横浜にある總持寺なんですけど、どちらも本山なんですね。我々は「両本山りょうほんざん」って呼んでます。ちなみに言っておきますけど、…

『大法輪』と私

『大法輪』と私 本屋の雑誌コーナーから仏教総合雑誌『大法輪』がなくなっていることを、寂しく思った。 6月発売の7月号をもって休刊。 もうじき9月となる今、白い表紙に明朝体レタリングで「大法輪」と揮毫された、あのお馴染みの表紙を見ることはもうない…

僧侶はサラリーマン。寺院収入は免税。その意味。

僧侶はサラリーマン(給料生活者)なのだが、その事実はほとんど世間に知られていない。たまに「坊さんは非課税だからいいよなぁ」というような話がされることがあるが、非課税なのは宗教法人である寺院の収入に対してであって、僧侶の収入に対してではない…

不幸なわけじゃない

不幸なわけじゃない 何歳で亡くなったって、不幸なわけじゃない。 若くして亡くなる。年老いて亡くなる。 どちらもその人の一生涯である。 他人の人生と比べてどうこう言うことじゃない。 自分の生涯は1つしかないのだから、生きた軌跡のほかに、その人の生…

菩提心と自己犠牲とアンパンマン

菩提心と自己犠牲とアンパンマン アンパンマンという国民的なアニメを、もちろん皆さんご存じのことと思う。 私も子どもの頃によく見たことを覚えている。 大人になってからはさすがに久しく見ていなかったが、子どもが生まれてからは何度も一緒に見た。 映…

年寄りの気持ちがわかるのは……

年寄りの気持ちがわかるのは…… お盆の時期には檀家さんの家々を廻り、各家の先祖を供養するために経を唱える。いわゆる棚経とよばれる行事を毎年行っている。 精霊棚(盆棚)とよばれるお盆限定の棚をこしらえて、仏壇のなかから位牌等を取り出し、棚の上に…

仏教って、なに?

仏教って、なに? 僧侶の一番の使命は、仏教と説くこと。 なので、「仏教って、なに?」という問いに答えることがもっとも重要な僧侶の使命なのですが、こうしたある種漠然とした、広範囲を対象とした問いに答えることは、実際には難しいものです。 なぜ難し…

私が私を私と認識するから、私がいるように感じられる

私が私を私と認識するから、私がいるように感じられる 知らない、わからない、ということは恥ずかしいことだと思っていた。 テストでわからないところを空欄のまま提出すると、赤ペンでバツが打たれて返ってくる。 バツがよい道理はないから、知らないことは…

便利の代償

便利の代償 雑草がよく伸びる。 夏近き季節となって、寺の目の前にある放棄地となった田んぼも、ご多分に漏れず雑草が生い茂っている。 雑草なんて名前の草はないのだと、そんな言葉を残した人がいるそうだ。 昭和天皇の言葉とも、いやそうではないのだとも…

仏教が説く「幸せ」の意味

幸せというと、人は大抵ハッピーな気持ちを想像する。 嬉しい、楽しい、心地よい。そういった気持ちが「幸せ」なのだと。 しかし仏教ではそれらを幸せとは呼ばなかった。 仏教において「幸せ」という言葉を使用するなら、その言葉が意味するのは「平穏」と表…

幸せとは三つ葉のクローバーのようなもの

近くにあるのに、遠くにあるように思えるもの。 遠くにあるように思えて、じつはとても近くにあるもの。 四つ葉のクローバーを見つける必要なんてないのです。 何かを手に入れることができれば幸せになれる、という妄想を捨てることができれば、もうそれで幸…

『正法眼蔵』第六「行仏威儀」巻の現代語訳と原文③

『正法眼蔵』第六「行仏威儀」巻の現代語訳と原文③ 第11節 仏道を説著するに、胎生化生等は仏道の行履なりといへども、いまだ湿生卵生等を道取せず。いはんやこの胎卵湿化生のほかになほ生あること、夢也未見在なり。いかにいはんや胎卵湿化生のほかに、胎卵…

【禅語】我逢人 ~出逢いからはじまる~

「我逢人」の「人」とは「本物」のこと。 そんなふうに感じることのできる相手との出逢いを指して、我逢人という。 人との出逢いから私たちは多くのことを学ぶ。 自分一人だけではどうしても限界があり、固定観念という枠を超えることも難しい。 出逢いは、…

僧侶・お坊さんの呼び方の種類と意味【曹洞宗版】

僧侶の呼び名にはかなりの種類がある。 そのなかのどれがもっとも相応しい呼び方なのか、これを考えるのはなかなか悩ましい。そこで、代表的なお坊さんの呼び方と、その意味についてまとめてみたい。住職、和尚、お坊さん、方丈、おっさま、雲水さん、若さん…

【仏画の画像】ポップ&アートな異次元の仏画

ご存知ですか……世の中には斜め上をいく進化を遂げた仏画が存在することを!!クオリティが高すぎる仏像フィギュアで有名な「イSム」(イスム)の仏像。 それとはまた違う意味でクオリティが高すぎる「イSム」の仏画、「HAKUジクレ」シリーズをご紹介したいと思…

禅宗とは? 宗派(曹洞宗・臨済宗・黄檗宗)の開祖や教えや歴史を紹介

禅宗というのは、曹洞宗や臨済宗や黄檗宗といった、禅を旨とする宗派をまとめた「総称」であって、実際に禅宗という宗派が存在するわけではない。 たとえばキュウリやトマトやキャベツなどを総称して「野菜」と呼ぶように、曹洞宗や臨済宗や黄檗宗などを総称…

【害虫の種類】ゴキブリを害虫と呼ぶのは本当の害虫を知らない人。

ダイニングを本拠地としてかまえ、時にはリビングにも遠征に出るゴキブリ。 普段は戸棚の奥深くや冷蔵庫の後ろの僅かな隙間に身を隠し、天敵が寝静まった夜にカサコソと姿を現す。 何かの手違いでその黒光りした体躯がまだ明るいフロアを駆け巡ると、半ば狂…

【禅語】 散る桜 残る桜も 散る桜 ~良寛禅師 辞世の句~

いつも衣の懐に手毬やおはじきを入れて、子どもらと無邪気に遊んでいたという良寛和尚。 「散る桜 残る桜も 散る桜」という禅語は、そんな良寛の辞世の句である。 今まさに命が燃え尽きようとしている時、たとえ命が長らえたところで、それもまた散りゆく命…

【禅語】無功徳 ~功徳を求めれば功徳なし~

無功徳という禅語は、禅宗の初祖とも称される菩提達磨(ぼだい・だるま)の言葉である。 南インドの香至国(こうしこく)という国の第3王子として生まれた達磨は、やがて出家をして僧となった。そして後年、仏法を説き広めるためにインドを発って中国へと向…

十牛図に秘められた悟りの諸相 【廓庵師遠版】(前篇)

十牛図とは、禅の極意、つまりは「悟り」というものを感覚として摑むことができるよう、牛を題材にした十枚の絵によって悟りへのプロセスを描き表わした絵画であり、教本であり、芸術である。 この十牛図の面白さは、何と言っても「悟り」といった漠然とした…

十牛図に秘められた悟りの諸相 【廓庵師遠版】(後篇)

十牛図に秘められた悟りの諸相 (後篇) 前篇に引き続き、十牛図を読み解いていきたい。 後篇は第六よりはじまるので、前篇を読んでいない方は先に十牛図の前篇のほうをどうぞ。 下の記事が前篇になります。 十牛図の前篇を読む それでは十牛図の後篇を読み…

なぜ悪いことをしてはいけないのか?

悪いことをするべきでない理由は、悪いことをすれば、そのとき人は人生を「悪い人」として生きているから。 悪い人として生きた時間は、悪い時間である。 悪い時間を過ごしているあいだは、悪い人生である。 つまり、悪いことをすれば、人生が悪くなる。虚し…

禅語一覧【五十音順】

禅語一覧 ブログ「 禅の視点」において取り扱った禅語を、五十音順で以下に一覧掲載しました。 それぞれの言葉をクリックすると、その言葉を題材にしたエッセイや詳しい説明を読むことができます。 興味のある言葉を見つけたら、ぜひクリックしてみてくださ…

【故人の年齢】享年と行年の違い、満年齢と数え年の意味、胎児期間は?

葬儀の際によく問題となるのが、故人の年齢。 「77才で亡くなったけど、位牌をみたら79才って書いてあった」 「享年と行年って何が違うの?」 「満年齢じゃだめなの? 数え年でなきゃだめなの?」 「人によって説明が違う」 などなど、遺族の方々は葬儀社ス…

永平寺での修行中にやらかした最大の失敗 ~これがケチラシだ~

永平寺では、ミス(失敗)のことを「ケチラシ」と呼ぶ。 調べたことはないが、おそらくは「蹴散らし」の意味なのだろう。 蹴散らしという言葉の意味は2つあって、1つは敵をあっさりやっつけること。「雑魚を蹴散らして進軍する」というような用法である。 も…