禅の視点 - life -

禅語の意味、経典の現代語訳、仏教や曹洞宗、葬儀や坐禅などの解説

禅語エッセイ

【禅語】 散る桜 残る桜も 散る桜 ~良寛禅師 辞世の句~

いつも衣の懐に手毬やおはじきを入れて、子どもらと無邪気に遊んでいたという良寛和尚。 「散る桜 残る桜も 散る桜」という禅語は、そんな良寛の辞世の句である。 今まさに命が燃え尽きようとしている時、たとえ命が長らえたところで、それもまた散りゆく命…

【禅語】無功徳 ~功徳を求めれば功徳なし~

無功徳という禅語は、禅宗の初祖とも称される菩提達磨(ぼだい・だるま)の言葉である。 南インドの香至国(こうしこく)という国の第3王子として生まれた達磨は、やがて出家をして僧となった。そして後年、仏法を説き広めるためにインドを発って中国へと向…

【禅語】 日々是好日 ~「毎日がよい日」をどう受け取るか~

日々是好日という言葉をどう解釈するかは各人の自由であるが、少なくとも「好日」という言葉を「良い」「悪い」という意味での「よい」と受け取ることだけはやめたほうがいい。 相対的な物の見方は禅のもっとも戒めるところだからである。 これは良くて、あ…

色即是空の意味を知ったなら、次は空即是色の視点を持とう

色即是空という言葉は、「あらゆるものは空である」といった意味の言葉であり、つまりが般若心経の中核を突く言葉であるといえる。 色即是空を説きたいがために般若心経が存在している、と言ってしまってはやや大袈裟かもしれないが、筋としてはそのようなも…

【禅語】 慈愛 - 恋と愛の違い -

誰かを好きになったり誰かに恋をしたりすることと、誰かを愛することは、似ているようでまったく違うこと。 人を好きになると、相手も自分のことを好きでいてくれることを望むようになるだろう。 「恋が叶う」とは、まさにその望みが叶った状態をいった言葉…

【禅語】 啐啄同時 - 導く者と成長する者の間に生まれる、絶妙の機を逃さない -

「啐(そつ)」とは、卵の中の雛が「もうすぐ生まれるよ」と内側から殻をつつく音。 「啄(たく)」とは、そんな卵の変化に気づいた親鳥が、「ここから出てきなさい」と外側から殻をつつく音。 殻を破る者と、それを導く者。そんな両者の「啐」と「啄」が同…

【禅語】 冷暖自知 - 体験してはじめてわかること -

禅語「冷暖自知」は、私が大好きな禅語の1つである。 この禅語は自分で体験することの重要性を説いている。 たとえば、友達がイタリアンのお店に行って 「あそこのピザがすごく美味しかったよ」 と教えてくれたとする。 すると私は、 「あのイタリアンの店の…

【禅語】 縁起 ~結果には直接的原因と間接的原因がある~

縁起とは「縁(よ)りて起こる」という意味で、禅語というよりも仏教語といったほうが正しいかもしれない。が、とりあえずここでは広義の禅語としておく。 この縁起という言葉にはいくつかの異なった意味がある。 まず、世間一般では「縁起を担ぐ」「縁起で…

【禅語】 知足 - 幸せとは心の充足度 -

禅の考える幸せは、いたってシンプル。 キッチンから大さじを持ってきて、コップから水を一杯すくいとる。きっかり15cc。大さじ一杯の水を得て充足とする。 水を増やすのではなく、器を大さじという小さなものに変えるのである。 2/1の状態を2/2にするのでは…

【禅語】 自灯明 - 本当に自分を支えることができるのは自分だけ -

前回、法灯明という禅語について綴った。 ブッダが亡くなる前に弟子たちに残した最期の言葉である。 真理、つまり本当に正しいことを頼りにして生きていきなさいという意味の禅語であった。 その法灯明という禅語とともに、ブッダはもう1つの禅語を弟子たち…

「弾琴のたとえ」 ~仏弟子ソーナと中道の教え~

「ソーナ、あなたは出家する以前、琴を弾くことが巧みだったという話を聞いたことがあるが、そうだったろうか?」 「はい、多少なり琴には心得があります」 「では訊くが、もし琴の弦があまりにも強く張られていた場合、琴はよい音色を奏でるものだろうか」 …

「拈華微笑」とはどういう意味なのか 

拈華微笑(ねんげみしょう)とは、仏教を説いたブッダと、その弟子の1人である摩訶迦葉との間で交わされたとされる逸話を示す言葉のこと。 具体的には、次のような話を指す言葉である。 ある時、ブッダは大勢の弟子たちとともに霊鷲山にいた。弟子たちを前に…

【禅語】但だ般若を尊重す ~必要なのは学ぼうとする心だけ~

但だ般若を尊重す 口では調子のいいことを言って、実際の行動は全然なってない。自分のことは棚の最上段に上げて、綺麗事ばかり口にする。 そのような「口だけ」と批判されるような人がいれば、仮にその人が話す言葉がどれだけ道理に適った素晴らしいもので…

【禅語】眼横鼻直 ~道元禅師の「問い」と「答え」~

比叡山で抱いた道元禅師の問い。 「本来本法性 天然自性身」 それに対する答え。 「眼は横に並び鼻は縦に顔に付いていること」 「太陽は朝に東から昇り、夜に西に沈んでいくということ」 「眼横鼻直」という禅語が示すのは、この心なのである。

【禅語】茶に逢うては茶を喫し、飯に逢うては飯を喫す (喫茶喫飯)

お茶をいただいたならそのお茶を飲み、ご飯をいただいたならそのご飯を食べる。 「茶さに逢おうては茶さを喫きっし、飯はんに逢おうては飯はんを喫きっす」という禅語は、だいたいそのような意味の言葉である。 特に変哲のない、何を言おうとしているのかも…

【禅語】麻三斤 ~仏とは何なのか~

麻三斤(まさんぎん)という禅語がある。 後梁から宋にかけての時代(約10世紀:中国)を生きた洞山守初(とうざんしゅしょ)禅師の言葉である。 禅の公案集(悟りの機縁を集録した書物)である『碧巌録』に、この麻三斤という禅語が生まれたきっかけとなる…

【禅語の本】禅の入門書にオススメ『糧になる禅語』の内容をご紹介

『糧になる禅語』は、禅語を題材にしたフォトエッセイです。 禅語というものが真実の一端を端的に示す言葉であるとしたら、ただ言葉を綴るだけでなく、視覚的に直接訴えかけるものがあったほうが禅語の世界感をイメージしやすいと思い、見開き全面にフォト(…

【禅語】抜群無益 大衆一如 ~自我を制御するために~

大衆一如であることの意義は、修行僧という存在に成りきることにあるように思う。 「自分」ではなく、「修行僧」に成るという意味だ。 「こうしたい」「あれはしたくない」といった自我を放り捨てて、ただ定められた修行を一心に行う。 水がただひたすら高い…

【禅語】紅炉上一点の雪  ~燃える心に誘惑は近づけない~

赤々と燃えるストーブの上に、ふわりと雪が舞い落ちてきた。 けれどもストーブに触れた瞬間、雪は溶けて水になり、瞬く間に蒸発して消えてしまう。 炎を前にして、雪は為す術もなく消えさっていく。 炎は雪の存在に気付くことすらなく、自分が燃えることだけ…

【群盲象を評す】平面的な意見と、立体的な真実の関係

目が見えない盲目の人間が数名集められ、その人たち全員に象を触ってもらった。 当人たちは目が見えないので、当然のことながら象という動物を見たことはない。 そこで、触った感触から象という動物がどのようなものか、感想を述べてもらった。 人々はそれぞ…

【良寛の言葉】災難に遭う時節には災難に遭うがよく候

地震や台風、大雪や噴火。 個人の力などでは到底太刀打ちすることのできない圧倒的強大な自然の力の前に、人は何ができるのか。 どれだけ頭をひねって予防に努めても、自然災害を完全に防ぐことなどできないという不可避性に、災害の恐ろしさを思わずにはい…

【禅語】法食同輪 ~修行でないことが世の中にあるだろうか~

法食同輪という禅語は、法と食、つまり坐禅や読経といった行い(法)と食事を作ったりいただいたりすることに、優劣や上下などないということを言っている。 なんとなく私たちは、「仏道修行」というと坐禅などを思い浮かべ、「食事の仕度」というと裏方仕事…

【禅語】 露堂々 ~真理は目の前にはっきりとあらわれている~

「露」というのは「あらわれる」の意で、したがってこの禅語は「真理ははっきり堂々と目の前にあらわれている」といった意味の言葉である。 草は草としての本分をまっとうしてそこに存在している。 花は花としての本分をまっとうしてそこに存在している。 草…

【禅語】 不立文字 ~文字で真理は悟れない~

禅の教義を端的にあらわす禅語として、不立文字(ふりゅうもんじ)という言葉がある。「文字を立てない」と読むことができるが、これは「文字で真理を説くことはできない」「文字のなかに真理はない」というほどの意味である。 こう書くと文字の軽視と受け取…

【禅語】 木鶏子夜に鳴く ~本物の強さとは何か~

木鶏子夜に鳴く ~本物の強さとは何か~ 木鶏とは、泰然自若とした境地、無心の境地こそ本物の強さだという意味を持つ言葉として広まることとなった。 これをもとに、宋代の禅僧である風穴延沼(ふうけつ・えんしょう)が放った言葉が「木鶏子夜に鳴く」であ…

【禅語】 鳥啼いて山更に幽なり ~静けさを破ることで際立つ静けさ~

風がやみ、木の葉が擦れ合うかすかな音さも聞こえない深い森。 その森から一羽のカラスが鳴き声を上げながら飛び立つ。 途端に静寂が破られて、辺りに鳴き声がこだまする。 カラスが次第に遠ざかるにつれて、鳴き声の余韻も散じるように空に消え入り、山は再…

【禅語】八風吹けども動ぜず ~不動心とは何だろうか~

、「八風吹けども動ぜず」とは、揺れた心がすぐにもとの座標、心の中心点に戻ってくることを言った禅の言葉なのだ。 嬉しければ嬉しいと感じ、心をもとにもどす。 悲しければ悲しみ、心をもとにもどす。 怒るときは怒り、心をもとにもどす。 いつまでも感情…

喝といえば心越興儔と水戸黄門。それから『スラムダンク』。

禅の世界には一字関(いちじかん)とか一転語(いってんご)とか呼ばれる特殊な言葉がある。 一字関(一転語)とは、その一言でもって相手を真理に導く、気付かせる、悟らせるための言葉のこと。 それにはいくつかの種類がある。 なかでももっとも有名な一字…

【禅語】霧の中を行けば覚えざるに衣湿る ~環境から受ける影響~

善い人のそばにいれば、意識せずとも善い影響を受ける。 悪い人のそばにいれば、自ずと悪い方向へと流れていく。 先が見えないような濃い霧のなかを歩いていると、いつの間にか衣服が湿っているように、身を置く環境によって無意識のうちに受ける影響という…

諸悪莫作の解釈 ~七仏通誡偈は簡単そうで奥が深い?~

仏教には七仏通誡偈(しちぶつつうかいげ)と呼ばれる短い偈文がある。七仏というのは仏教の創始者であるブッダ以前に存在したとされる6人の仏と、ブッダを足した7人の仏をいう。この7人の仏は過去七仏(かこしちぶつ)と称され、禅宗ではその名前を日々…