禅の視点 - life -

禅語の意味、経典の現代語訳、仏教や曹洞宗、葬儀や坐禅などの解説

日々の綴り

紙が、ない。

登山では、準備段階における排便の有無が死活問題に直結するという笑い話のような笑えない話を聞いたことがあるが、何も排便の有無は登山時のみ重要となるわけではない。 日常生活においても、朝、出発前にきちんと排便できていると気持ちがスッキリする。さ…

障道 ~仏道修行を障げるもの~

禅には障道(しょうどう)という言葉がある。 読んで字の如く「仏の道を障(さまた)げるもの」という意味である。 仏道などと改まらなくても、たとえば家で勉強をしようとしていたとき、ふと目にした新聞のテレビ欄に面白そうな番組があって、その番組が気…

「忙しいと心を亡くす」は事実 ~善きサマリア人の実験~

「忙」という漢字は、心を意味する立心偏「忄」に、「亡」という旁が組み合わさってできている。 そのような成り立ちによる漢字であるがゆえに、「忙しいと心を亡くすよ」との安直なアドバイスを耳にすることもある。 しかしどうやら、その解釈は間違いでは…

【写経セット】般若心経の現代語訳の冊子&筆ペン付きで新発売

大阪府堺市に社をかまえる山本紙業から発売された写経セット「大人の教養 写経」。写経セットとしてはめずらしく、般若心経の現代語訳が記された冊子が付属されており、書くだけでなくお経の意味を知ることで、より写経が奥深いものに。岐阜県美濃市にある霊…

【テレホン法話】お坊さんの話が聴けるフリーダイヤルがある

お坊さんの話、ちょっと聴いてみたいなぁ。 そんなことを急に思い立つ方がどれほどいらっしゃるかはわからないが、そのようなサービスを提供している仏教宗派・機関・寺院は多くある。 正式な名称はそれぞれだが、おおむね「テレホン法話」と総称される専用…

御詠歌・梅花流詠讃歌ってどんな感じ? ~仏教の教えを歌詞にした歌~

禅・曹洞宗には梅花流詠讃歌(ばいかりゅうえいさんか)(通称「梅花」or「ご詠歌」)という名の、仏の教えを歌詞にした歌がある。 それぞれの寺院ごとに梅花講という、いわば梅花を歌うチームのようなものがあって、練習を重ねて法要や大会で歌ったりするの…

多羅葉の葉をハガキの代わりに投函する際の注意点

葉書が考え出されるきっかけとなった多羅葉(らたよう)の葉っぱ。 この葉は、葉の裏側に傷を付けると黒く跡が残るため、その性質を利用して文字を残しておくことができる。 つまり先の尖ったもので文字を刻むことで、紙のように使用することが可能という不…

【多羅葉】ハガキのもとになった、文字が書ける不思議な葉っぱ

現在のような紙も筆記用具も、紀元前のインドには存在しない。 そこで古代インドでは木の葉に文字を刻み後世へと言葉を残すという方法をとった。 その際に使用される葉っぱはどの木の葉っぱでもいいというわけではなく、多羅樹(ターラ樹)の葉が用いられた…

【洲原ひまわりの里】 魔女コンテストに挑戦しよう!

洲原ひまわりの里 岐阜県美濃市の洲原地区で、8月中旬をメインに「洲原ひまわりの里」というプロジェクトが人気を博している。 長良川のほとりに建つオレンジ色の三角形の屋根が特徴的な洲原地域ふれあいセンターの周囲に約1万本の多様なひまわりを植え、…

お盆って何? 意外と知らないお盆にまつわるQ&A 七選

意外と知らないお盆にまつわるQ&A 七選 Q.1 そもそも、お盆って何? Q.2 お盆の起源は? Q.3 お盆の時期に各地で違いがあるのはなぜ? Q.4 「お盆」という言葉に意味はあるの? Q.5 盆棚はどうやって準備すればいい? Q.6 キュウリとナスの供物は、何? Q.7 …

【両祖】曹洞宗の祖は2人いる ~道元禅師と瑩山禅師~

日本の仏教宗派の一派である曹洞宗(そうとうしゅう)では、あまり宗祖(しゅうそ)という言葉を使用しない。 宗祖とはその言葉のとおり、宗派の祖、つまりはその宗派の創始者というほどの意味であるが、そうした言葉を用いない。 普通、それぞれの宗派には…

【賽の河原地蔵和讃】亡くなった子ども(水子)と地蔵菩薩の物語

地蔵菩薩の威徳を表現した和讃(歌のようなもの)に、「賽の河原地蔵和讃」というものがあるのだが、これがちょっとした問題を孕んだ、非常に考えさせられる和讃となっている。 私ははじめてこの「賽の河原地蔵和讃」の全文を読んだとき、こんな悲しい気持ち…

春を探してお花摘み ~春を感じることのできる親子遊び~

うららかな春。陽の下を歩いていると、少し汗ばむくらい暖かな季節になってきた。 絶好の散歩日和に恵まれたので、春休みで退屈している長男(小1)と次男(年少)と一緒に春探しに出発することに。 まあ春探しと言っても、咲きはじめた草花を摘むだけの長…

禅の修行って何? ~永平寺での修行で何を得たか~

一般の方と話をしていて「一時期、永平寺で修行をしていた」という話になると、「修行ってどんなことをするの?」と訊かれることが多い。 滝に打たれるとか、火の上を歩くだとか、苦行という部類に入るようなわかりやすい修行をイメージされる方が多いのだが…

【四九日】修行って休日はあるんですか?と訊かれて「えっ」となった話

「修行というのは生き方なので、休みというものはないんですよ。 ただ、禅寺には休みに似た日があるにはあるんです。 四九日(しくにち)っていうんですけどね、1ヶ月のなかで四と九のつく日、つまり4日、14日24日、9日、19日、29日は、起床時間がいつもよ…

2月15日は涅槃会、ブッダが亡くなった命日 ~涅槃図と涅槃団子~

ガンジス川中流域を中心に普遍の教えを説き続けブッダは、紀元前383年、クシナーラーの地で80歳の生涯を閉じた。 多くの弟子たちに囲まれ、惜しまれつつ看取られた最期だったという。 2月15日はそんなブッダの涅槃(亡くなること)を悼み、伝道の日々を偲ぶ…

旧暦とは? 新暦と何が違う? お盆の時期が異なる理由 

旧暦は月をもとに考える暦法をいう。 月の満ち欠け、つまり新月から次の新月までを1つの月と考えるのが旧暦のベース。 と、それだけだと「旧暦=太陰暦」と解釈されてしまう可能性があり、事実、旧暦とは太陰暦だと思っている方が多い。 これはまったくの間…

永平寺へ車椅子で参拝することは可能か ~永平寺のバリアフリー~

永平寺へ車椅子で参拝する際のポイント 曹洞宗の大本山である福井県永平寺は、急峻な山の斜面を背にして、いくつもの伽藍や御堂などの建造物が建てられている。 斜面であることから必然的に階段が多くなり、車椅子での参拝はできないのではないかと心配され…

浜までは 海女も蓑着る 時雨かな ~滝瓢水の句におもう~

江戸中期の俳人に、滝瓢水(たき・ひょうすい)がいる。 船問屋の息子として生まれた瓢水は若くして俳諧の才を発揮し、後に人口に膾炙するほどの秀句をいくつも残した。 「浜までは海女の蓑着る時雨かな」はその1つだ。 ただし瓢水は放蕩息子という意外な一…

カジノ解禁、統合型リゾート(IR)推進法案が成立される日

ギャンブルのような人生を歩むなと、教えるのが大人ではなかったか。 実直であることが、人が安らかに健やかに生きる上でいかに大切であるかを、説くのが大人ではなかったか。 世の教師らは、きっと今頃頭を悩ませているのだと思う。 この国はカジノというギ…

「宗教」という言葉は5分で理解できる - 日本人が宗教に馴染みがないのはなぜか? -

「宗教」という単語は、じつは比較的新しい言葉である。 明治期に輸入された「Religion」という単語の翻訳語として、宗教という言葉は日本に生まれた。 ただ、昔から存在していたわけではない言葉ということもあって、私たち日本人はこの宗教という言葉が何…

僧の所持品「十八物」と、災害時避難リュックの中身を比べた結果に驚いた……。

前回、「無用の長物」という言葉が仏教に由来する仏教語であるという記事を書いた。 [http://www.zen-essay.com/entry/muyou-tyoubutsu:embed:cite] そのなかで、僧が所持することを認められていた18の品「十八物」を紹介したが、その十八物に「毛抜き」が入…

山崎元氏の「『墓なし・坊主なし』の弔いをやってわかったこと」の記事を読んだ

ダイヤモンド社のビジネス情報サイト「ダイヤモンド・オンライン」に、「山崎元のマルチスコープ」というコラムがある。 その名のとおり、経済評論家の山崎元氏がマルチな視点であらゆるニュースを取り上げて解説をするのだが、今回は 「墓なし・坊主なし」…

お布施の金額はなぜ「お気持ちで」なのか? 深すぎるお布施の意味

葬儀や法事などの仏事の際に、我々僧侶はお布施をいただいている。 そんなお布施に関する一般の方々の最大の関心事は、やはりその金額ではないか。 菩提寺にお布施の相談をしたら、「お気持ちで大丈夫ですよ」「お志しで結構ですよ」と言われて金額に悩んだ…

仏前結婚式ってどんな感じ? - その特徴・費用・内容などについて -

この広大な世の中で偶然にも出会った二人が、契りを結び夫婦となる結婚式。 そんな結婚式のイメージといえば、ドレス姿の新婦がバージンロードを歩き、神父の前で2人が愛を誓い、みんなで讃美歌を歌って、誓いのキス……という、いわゆる教会式を思い浮かべる…

「ごみ箱」って「護美箱」っていう漢字だったの!? いえ、当て字です。

永平寺の廊下には「護美箱」と墨書された箱が、ところどころ横の壁に掛けられているのだ。 「すみません、これってやっぱり、ごみ箱のことなんですか?」 「ええ、そうですよ」 「ごみ箱って、こういう漢字だったんですね」 「いえいえ、当て字です。でも『…

平成27年4月8日、第14世ダライ・ラマ法王が初めて岐阜県の地を踏んだ日

中国のチベット侵攻によって、国外へと亡命せざるをえなくなった第14世ダライ・ラマ法王は、祖国チベットの解放を訴え続けるとともに、62ヶ国以上の国々を歴訪し、平和・非暴力・相互理解・慈悲などの教えを説き続けている。 そんなダライ・ラマ法王が初めて…

曹洞宗岐阜県青年会編著 『曹洞宗の葬儀と供養 ~おくる~』が販売部数10000部突破で増刷決定

つい先日、9月末に『曹洞宗の葬儀と供養 ~おくる~』の第二刷ができあがったと、出版元である水曜社から連絡を受けた。 新聞・雑誌・テレビ・ラジオ・フリーペーパーなど、各種メディアで取り上げていただいたことが幸いし、多くの方の手に取っていただくこ…

怪我を防ぐためにまずすべき大切なこと

今から約2500年前、ブッダは弟子たちを集めてこんな質問をしたことがあった。 「私たちが歩く道の上には、尖った木片やゴツゴツした石などがいくつも落ちていて少々危ない。どうしたらよいだろうか」 当時は皆裸足で生活をしていた。だから外を出歩けば怪我…