日々の綴り
カレンダーなどに記載されている六曜で物事の良し悪しを決める習慣は、科学的思考や合理的判断が浸透している現代社会においても根強く存在している。 たとえば、 友引の日に葬儀をすると、弔問に訪れた友を一緒にあの世へ連れて行ってしまうようで縁起が悪…
仏教経典、いわゆる「お経」には、様々な種類のものがある。 それらの多くは仏の教えを文字に記したものであって、いわば仏教を学ぶための教科書のような性格の書物となっている。 漢字の羅列や難解な言葉、古い語体などによって呪文のように聞こえることも…
お客さんがやってきた。さて、お茶を出そうか。 そんなときに、ふと心配になるのが「正しいお茶の出し方」。 相手が気心の知れた友人であれば細かなマナーを気にしなくても問題はないだろうが、仕事相手や客人ではそうも楽観的にしていられない。 かしこまり…
童謡「山寺の和尚さん」の歌詞は、怖くて酷くてとんでもない歌詞のように思えますが、じつはそこには意外な解釈が隠されています。山寺の 和尚さんが 毬は蹴りたし 毬はなし 猫をかん袋に 押し込んで ポンとけりゃ ニャンと鳴く ニャンがニャンと鳴く ヨイヨ…
実際に髪を剃る際、どのように剃ればいいのか。もし髪が長い(1cm以上)場合、そのままでは剃ることが不可能であるため、まずはバリカンで一度髪の毛全体を限界まで短くしておく必要がある。 バリカンには髪の毛の長さを調節してカットするためのアタッチメ…
うちには置き薬がある。 お寺という、人が集まる場所という性格も相まって、数社の置き薬がある。 そのため、月に1回はどこかの製薬会社の担当者が訪ねてくる。 箱の中をチェックし、使ったものがあればその分の代金を払い、補充をしてもらう。 ただ、あま…
先日、暖かな冬の日に托鉢をした。 現代でも地域によっては托鉢をする僧と出会うことが珍しくないところもあるが、大多数の方にとっては、托鉢をする僧と出会う機会などほとんど存在しないのではないかと察する。 偶然に托鉢中の僧と出会うことがあっても、…
禅という言葉は、サンスクリット語の「ディヤーナ」、パーリ語の「ジャーナ」の漢訳である。サンスクリット語とはインドに古くから存在する由緒正しい言語で、パーリ語はその俗語。 日本でいう標準語と地方の方言みたいな関係と大雑把に考えていただければい…
仏教経典、いわゆる「お経」と呼ばれるものは膨大な種類にのぼるが、そのなかで曹洞宗においてよく読まれるお経はかなり限られる。 ここではそれらのなかでも比較的よく読経されるものを掲載し、その経典の紹介していきたい。般若心経。大悲心陀羅尼。舎利礼…
曹洞宗と臨済宗はどちらも禅の流れを汲む宗派で、親戚関係のような、お隣さんのような、とても近しい関係にある宗派同士となっている。 どちらも抽象的な理論よりも実践的な経験を重んじ、自然を真理そのものとして受け入れて、自然に順応するような生き方を…
物にも魂は宿る。 だから親しんだ物は簡単に捨てるのではなく、供養を施して焚き上げる。 そのような慈しみの心から営まれる人形供養の実際の雰囲気が知りたくて、人形供養の現場を訪問してみた。 訪れたのは、知人の僧侶が半年ほど前から毎月人形供養を勤め…
曹洞宗の大本山であり、禅の修行道場として名高い永平寺には、いつ頃から語られ始めたのか定かではない「七不思議」が存在する。 少々不気味で、しかし妙なリアリティもある永平寺の幽霊物語を、ひっそりとご紹介しよう。 ①夜鳴杉 ②七間東司 ③山門柱の礎石 ④…
仏教ではよくお香が用いられる。 香りを供えることはとても尊い供養であるという考え方が仏教にはあるため、葬儀や法事などの仏事では必ずといっていいほど焼香が行われるようになっている。 その焼香に使用されているあの細かく刻まれたお香であるが、あれ…
猫は決してバカではない。 むしろ、猫はちゃんとわかっている。 自分にとって小判が不必要なものであることをわかっている。 だから与えられても手にしない。猫の視点から考えるなら、「猫に小判」という諺は「無用の長物」と同等の意味となるだろう。 猫の…
「死なないように思えても人は必ず死ぬ」問題をどう解くか 『平家物語』の冒頭の一節。 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。 沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。 おごれる人も久しからず、ただ春の夜の夢のごとし。 たけき者も遂にはほろびぬ、…
曹洞宗は禅宗と総称される宗派の1つ。お釈迦様を本尊とし、道元禅師と瑩山禅師の2人を「両祖」と称して敬っている。坐禅を重んじ、修証一如の真理を体現するため、修行によって悟りをあらわすという修行観をもっている。どのようなお経が読まれるのか、どの…
超宗派を掲げる仏教と「本当の仏教」問題 最近の若手仏教僧侶は宗派の垣根というものをあまり感じていないように思う。「超宗派での活動」というような、既存の宗派仏教の枠組みにとらわれない動きも近年よく見聞きする。私自身も少し前に、宗派に関わらず仏…
もしも永平寺で修行経験のある者ばかりが集まり、どの公務がもっとも嫌だったか、つまり大外れ公務を議論する場があったとすれば、一体どの寮舎のどの公務が候補として挙がるだろうか。内輪でしか盛り上がらないこと間違いなし、でも内輪に限れば大盛り上が…
アーナンダがブッダの侍者になったときの話 ブッダには、常に行動をともにした侍者がいた。アーナンダである。このアーナンダは、ブッダの従兄弟にあたる人物だったと考えられている。 ブッダの実母であるマーヤーはブッダを産んですぐに亡くなっており、ブ…
サイコロは十人十色 高校生の時、学校で講演会が開かれたことがあった。講師は全国の刑務所を訪問して講演を続けている方で、受刑者にどのような話をしているのか、刑務所とはどのような場所なのか、そんな話を1時間聴いた。 講演の終わりのほうで、講師の方…
2018年秋頃から解脱を意識しはじめた小池氏は、遊行の旅における瞑想によって完全な解脱に至ることを考えた。 そして実際に寺を出て、雲の如く水の如く遊行生活(野宿生活)へと入っていった。 しかし2019年3月に至り、遊行生活を断念した。 その理由を、小…
人は誕生日を祝いますよね。 じつは仏教でも毎年、開祖であるブッダ(お釈迦さま)の誕生日を祝っています。 それが4月8日の「降誕会(ごうたんえ)」。 一般的には「花祭り」と呼ばれる日ですが、この花祭りこそ、ブッダの誕生を祝うお祭りなのです。 あま…
寺院に欠かすことのできない木魚。 しかしそんな木魚を製造している工房は現在、日本のなかでも愛知県内に数える程度しか残っていない。 しかも後継者問題が深刻だという。 なんとも危機的な状況である。 この危機を打開するためにはどうしたらいいのか。 木…
仏具って金色に輝いていたりして美しいですよね。 でもその輝きも、残念ながら時間の経過とともにやがてはくすんでしまいます。 ご自宅の仏具、くすんでませんか? 金属製品を磨くには、専用の研磨剤を用いるのが一番です。 研磨剤を塗り付けて、あとは布な…
永平寺ではたまにおやつが配布されることがある。 夜参(やさん)と呼ばれるそのおやつタイムは、おやつのゴールデンタイムである午前10時でも午後3時でもなく、夜の9時半ころに前触れもなく突然やってきた。稀に突如開催されるおやつタイムを、たいていの者…
僧衣を着て車の運転をしていた僧侶が「運転操作に支障がある衣服」という理由で交通反則切符(青切符)を切られた問題に関して、いろいろと状況がわかってきたので考察してみたい。 世間(主に仏教界)では「僧衣というだけで違反なんてありえない」とした論…
『糧になる禅語』は、禅語を題材にしたフォトエッセイです。 禅語というものが真実の一端を端的に示す言葉であるとしたら、ただ言葉を綴るだけでなく、視覚的に直接訴えかけるものがあったほうが禅語の世界感をイメージしやすいと思い、見開き全面にフォト(…
現在の日本で用いられている紀年法は、おもに西暦と和暦の2つ。 ご承知のとおり、西暦はキリストの生まれた年を紀元とした紀年法で、和暦は元号と年数を用いた日本独自の紀年法。 実生活上でこれら2つ以外の紀年法が用いられることはまずないが、存在として…
僧侶のなかには、話をすることで仏法を伝えようと、布教・伝道に尽力される方がいる。 そのような「仏教の教えを説く話」を法話とか、説法とか、あるいは説教などと呼ぶ。 また、そういった話をされる方々は、布教師や説教師と呼ばれてもいる。 寺院の檀家さ…
墓石に刻まれた故人の名前、戒名。 その戒名を見て、 「あれ? なんでこんな漢字が使われているんだろう?」 と不思議に思ったことはないだろうか。 戒名というものは宗派によって考え方が少々異なるため、法名と呼ばれることもあるが、総論として、これらは…