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【害虫の種類】ゴキブリを害虫と呼ぶのは本当の害虫を知らない人。

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ゴキブリを害虫と呼ぶのは本当の害虫を知らない人。

ダイニングを本拠地としてかまえ、時にはリビングにも遠征に出るゴキブリ
普段は戸棚の奥深くや冷蔵庫の後ろの僅かな隙間に身を隠し、天敵が寝静まった夜にカサコソと姿を現す。
何かの手違いでその黒光りした体躯がまだ明るいフロアを駆け巡ると、半ば狂乱したような声をあげて敵意を剥き出しにし、殺虫剤やスリッパを手に取る天敵、人間。
悪さをしでかしたわけでもないのに、なぜ彼らはこれほどまでに人間に恨まれているのか。
まるで存在自体が悪であるかのような扱いだ。


恐竜が生きていた時代から存在しているとさえ言われ、常に「害虫」のジャンルの頂点に君臨するゴキブリが、チャンピオンベルトを防衛し続けてきた事実に対し、しかし私は断固として異を唱えたい。
ゴキブリは、対して害を及ぼしてはいない。
害虫と呼ぶにはあまりにも無害。
ゴキブリを害虫と呼ぶのは、本当の害虫たちを知らないからだ

本当に害を及ぼす害虫たち

私が住んでいる寺院には、ゴキブリが頻出する。
羽を畳んだ背中は漆を塗った雅な椀のように照っていて、見るからに生命力に溢れている。
ただ、見慣れてしまえばゴキブリなど可愛らしいもので、特段の悪さはしないし、共存は問題なく可能。
食中毒などを引き起こす病原菌を媒介しているという事実もなくはないが、実感として、そこに害を感じたことはない。
夕飯の食事中に足からゴキブリが上ってきた時はさすがに驚いて手で払い除けたが、そういった珍事と遭遇することでゴキブリに対する免疫(慣れ)は獲得されていく。



しかしそんな私であっても、手を焼く相手はまだ多く存在する。
それら「真の害虫」について述べたいのだが、ただ述べるだけではイメージがしにくいので、数値化した上で比較を試みたい。
ゴキブリを目撃することによってビクッと驚く精神的なストレスを「害」と考え、基準値である「1」とし、それをもとに他の害虫の「害」の度合いを計ってみたいのだ。
すなわち単位を【G(ジー)】とし、ゴキブリ1匹が出現した際の害指数を1Gとする。
3Gなら、ゴキブリ3匹分の影響力と匹敵するという具合に。
それではみていこう。
※実物の写真を載せたほうがわかりやすいが、一部の方には【閲覧注意】の気持ち悪さを提供することになる危険性があったため、画像は使用しないこととする。

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カ:3G

まずランクインしたのは、夏の風物詩としてもその存在を世間に認められている、(蚊)。
血を吸われているのに、子どもらはむしろそれを喜んでいる節さえある。
たかがカと、侮られやすい存在ではあるが、病原菌の媒介者ともなり血液感染による重度の害をもたらすこともあるため油断はならない。
害を及ぼす反面、蚊取り線香のようにカによって意味を与えられている風物詩が存在することを考慮し、害指数は低めの3Gとなる。
ゴキブリを3回目撃した害度と、蚊に血を吸われる害の度合いはイコールだ。


ちなみに、
腕や足に吸い付いたカを躊躇なく叩くことができるのは、カをカとしか認識していないからであって、たとえば輪廻転生の思想を持ち、魂は生まれ変わり死に変わるとごく自然に考えるチベット人は、腕に吸い付いたこのカはちょっと前に亡くなった爺ちゃんかもしれないと考え、決して叩くことはない

カメムシ:12G

ゴキブリ12匹に相当する実力をひっさげてやってきたのは、ヘクサムシという悲しきあだ名の持ち主、カメムシだ。
種類によっては比較的よい香りを放つ者もいると聞くが、私たちの身の回りに存在するカメムシが放つにおいは大抵とてつもなく臭い。
が、日本人のなかにはこのカメムシの臭いをかいだことがない方も少なくないという。
うちにはわんさかといるので、知らない方には郵送してあげたいくらいだ。


カメムシは危険を感じた際に臭いを噴射するので、刺激を与えなければ害はない。
無理に捕まえようと手間取っているうちに噴射される、というのが害を受ける王道パターンのため、捕獲経験豊富な熟練者はほとんど臭いを発する間もなく、また刺激を与えることなく捕獲する術を身につけており被害報告は少ない。
普段カメムシが存在しない空間に暮らしている人が、たまたまカメムシと遭遇して慣れない手つきで対処したために噴射される、というパターンと、外に干していた服やタオルの間にカメムシが隠れており、知らずに使用することで刺激を与えて噴射の悲劇に至る、という2パターンがほとんど。
12Gというのはカメムシが出現したときの警戒ストレスによるものであって、実際に臭いを噴射された場合の害指数は420Gに跳ね上がる


ちなみに、
臭いが手についた場合の対処だが、あの臭いの成分は酸の一種でなおかつ親油性であるため、水で洗うのではなく食用油などで洗うと比較的臭いが落ちやすい
水ではまったくと言っていいほど落ちないので、油で丹念に臭い成分を溶かしたあと、石鹸で洗い流してしまおう。
服などに臭いが付着した際は、420Gの洗礼をストレートで味わうしかない。

スズメバチ2880G

黄色と黒のコントラストで自ら危険性を宣言するスズメバチ
やつらは軒下などに巣を作り、群れで生活をし、性格は極めて凶暴。
その害指数は2880Gで、4桁の世界に住む猛者である
間違っても、スズメバチの巣に石を投げるような愚行は控えなければいけない。
子どもは何をするかわからないので、小学生に上がるころには一応注意喚起をしておいたほうがいいだろう
スズメバチの毒は強烈で、アレルギーのショック反応によっては命を落とす危険さえある。
絶対に刺激を与えないこと。
これがスズメバチに対する絶対的なルールだ。


ただ、問題なのは巣の存在に気付かずに刺激を与えてしまう場合があることで、私もこの寺に住むようになってすでに3度刺された。
そのすべてが境内の木々の剪定中のことで、枝を切っている間に気付かず巣に接近したか、巣を揺らしたかでいきなり刺された。
刺された瞬間、患部には激痛が走るので、反射的に2メートルほどの梯子の上から地上に飛び降りてしまったこともある。
激痛のあまり逃避行動がほぼ反射的に起こってしまうため、高い場所での作業中に刺されると非常に危ない
逃げなければ2針、3針とさらに刺される危険もあるが、飛び降りるのもそれはそれで危険。
くれぐれも注意が必要だ。


ちなみに、
スズメバチに刺された際は、実際に命に関わる症状に陥る可能性があるので、少しでもおかしいと感じたら病院へ急いだほうがいい

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クロバネキノコバエ:70G~32,000G

あなたは知っているだろうか。
世にも恐ろしい小悪魔軍団、クロバネキノコバエを。
数値に幅があるのは、奴らはその数によって明らかに害の度合いが異なるからである。
クロバネキノコバエは私の暮らす地域では3年前から出現するようになった新顔の害虫で、それまでは名前も存在も知らなかった。
おそらく、その存在を知らない幸せな方も多いことだろう。
なのでまずはその恐ろしさから。


やつらが小悪魔と呼ばれるのには訳がある。
体がとてつもなく小さいのだ。
どれくらい小さいかというと、網戸をまったく問題なくすり抜けられるほど細く小さく、体長は1~2mm程度。
網戸では防ぐことができないため窓を閉めるのだが、残念ながらそれも全く無意味で、窓の下や上の隙間とは言えないレベルの隙間から簡単に室内に侵入してくる


それが1匹や2匹なら誰も害と感じないのだが、実際は何万、多い時には億単位と思しき数で室内に侵入してくる
虫嫌いの人が遭遇したら失神するレベルの量である。
床が一面クロバネキノコバエで埋め尽くされ、フローリングであったはずがいつの間にか蠢く黒い絨毯と化す。
どこを歩いてもクロバネキノコバエを踏みつぶしてしまうような状況となり、呼吸によって飛翔しているやつらを吸い込むことも。
ある人はクロバネキノコバエを吸い込み、それで呼吸器官に異常をきたし、病院送りにされた。


奴らが出現するのは梅雨明け前後と決まっていて、ある日突然申し合わせたかのように大群となって押し寄せる。
一旦飛来してくれば為す術はないので、対処法はただ耐えるのみ。
やつらの寿命は約半日で、正午を過ぎればそのほとんどが息絶える
なので正午を過ぎると、床はクロバネキノコバエの屍の山となる。
動かなくなったクロバネキノコバエを掃除機で吸うなり掃除をすることが日課となる。


少量の日は70G程度で済むが、床が黒くなるほどの多い日は容易に32,000Gに達する。
この地獄のような期間は1ヶ月程度続くため、梅雨が近づくと雨ではなく奴らの飛来を考え50Gほど気分が滅入ったりもする
姿を見せる前から人にダメージを負わせるという潜在能力の高さを鑑みれば、32,000Gは妥当だろう。


ちなみに、
このクロバネキノコバエに対する有効な防御策は確立されていないが、入口(窓)が小数の場合、扇風機を強風にして外に向かって回し続けることで、とても軽いクロバネキノコバエは吹き飛ばされて室内に入ることができないという報告もある。窓の多い家は、為す術がないので、昼を過ぎるまでひたすら待ち、それから掃除をしよう。クロバネキノコバエは午前中しか生きていられない。

シロアリ:560,000G

一口に害と言っても色々ある。
単に気分を害する虫。衛生を害する虫。怪我を負わせるような虫。
そして、財産を損なわせるような害虫の代表格がシロアリだ。
その害指数は、じつに560,000Gに値する。


家の柱を囓りボロボロにしてしまうことのできる力を秘めたシロアリは、気付かない間に建物を破壊する恐ろしさを秘めている
寺院の本堂は特殊建築で費用が半端でなくかかるが、そんな本堂の土台となる柱をボロボロにされてしまったら目も当てられない。
実際、うちは過去にシロアリの被害に遭ったことがあるため、その対策には神経を尖らせている。
檀家さんらの大切な本堂をシロアリに囓られてボロボロにしてしまうわけにはいかない。
自宅でちょっとでも気になる方は、一度専門業者に調査してもらったほうが安心できるだろう。


ちなみに、
シロアリはアリという名前が付いているが、じつはゴキブリの仲間だ。

ムカデ:2,000,000G

恐ろしい。
もう、この虫だけは本当に本当に恐ろしい
足が多いのも恐ろしいし、ゾロゾロと歩く姿も恐ろしいし、赤黒い色味も恐ろしいし、何より家の中にそっと潜んでいることが恐ろしい。
隙間に手を入れたらガブリとやられそうで、恐ろしい。
洗濯物のなかに潜んでいないか、靴のなかに潜んでいないか、常に気にしてしまうストレスも加算され、その害指数は驚異の2,000,000G。



これまでに1度だけムカデの毒にやられたことがあるが、患部の腫れは尋常ではなかった。
なんでも、毒の力としてはスズメバチと同等らしく、決して油断してはならない
スズメバチなら病院も考えるけど、ムカデなら市販の薬でも塗っておけばいいか、は危ない。
もし体に異常が感じられたら、すぐに病院へ向かうことを強くおすすめする。


ちなみに、
寝ているときになにやらガサゴソと虫の這う音が聞こえ、妻が目を覚ますと、となりでスヤスヤと眠っている1歳になる次男の体の上を巨大なムカデが這っており、妻は咄嗟に素手でその巨大ムカデをつまみあげ、噛まれるよりも早くそのムカデを遠くへ投げたことがあった。
その時私は傍で寝ていたが、あまりの出来事に興奮して眠れなくなった妻に起こされ、一連の状況を説明され、これは自分史のなかでも特筆すべき勇気ある行為だったという能弁を聞かされ、「はい、わかりました。息子を助けていただいてどうもありがとうございました」と寝ぼけながらお礼を言って、今投げたムカデを見つけて火ばさみで捕まえて外に出して始末してくるようにとのご指示をいただいて、その任務を遂行して、ようやくまた眠りにつけたのだった。
妻が自分史に記載したくなるほどのエピソードを成り立たせる力を持った存在なのである。ムカデは。

ゴキブリは無害

本当の害虫について述べてきたが、どうだろうか。
ゴキブリがいかに無害な存在であるか、あるいは弱害な虫であるか、共感していただけただろうか。
「いや、私はムカデよりもむしろゴキブリが子どもの体の上を這っていたときのほうが恐怖です」
という方もいるかもしれない。
もうこの際それならそれでいいのだが、これだけは事実として最後にお伝えしたい。
「ゴキブリは慣れる。しかし、ムカデは慣れることができない」
ゴキブリ嫌いの方々へ、どうかこの事実を忘れないでほしい。