【南隠全愚】金を落としてしまってな - 禅僧の逸話 -

ある時、南隠は交友のある人物の家を訪ねていた。 座り込んで家主と話をしていたのだが、どうも南隠の元気がない様子。 これは何かあったに違いないと察し、家主が南隠に訊ねてみると、南隠は「じつはな……」と重たげに口を開いた。 「今日、とんだ粗相(そそう)をしてしまったんじゃよ。ちょっくら買い物をしていた折に、…