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仏前結婚式ってどんな感じ? - その特徴・費用・内容などについて -

仏前結婚式 三三九度


仏前結婚式 - その知られざる内容と概要 -

この広大な世の中で偶然にも出会った二人が、契りを結び夫婦となる結婚式。
そんな結婚式のイメージといえば、ドレス姿の新婦がバージンロードを歩き、神父の前で2人が愛を誓い、みんなで讃美歌を歌って、誓いのキス……という、いわゆる教会式を思い浮かべることが多いだろうが、その他にも結婚式の形態は存在する。
ここでは、まだあまり世間に知られていない、しかし知る人ぞ知る隠れた人気を呼んでいる仏前結婚式についてみていこう。

結婚式の種類

結婚式は大きく分けて次の4つの種類がある。

  1. 教会式(キリスト教式)
  2. 人前式(親類・友人式)
  3. 神前式(神道式)
  4. 仏前式(仏教式)

教会式、人前式、神前式はわかるが、仏前式?
そんな結婚式が存在するのかと思われる方も少なくないのではないだろうか。
そこで、これまでに何度か仏前結婚式の手伝いをしたり司会を務めたりしてきた自分の経験をもとに、知られざる仏前結婚式について詳細をまとめてみたい。

仏前結婚式とは

仏前結婚式とは、文字どおり仏式で行われる結婚式のことである。
ただ、この「仏」が意味するものは2つある。
1つは、本尊
もう1つは、新郎新婦の先祖である。
つまり仏前結婚式とは、新郎新婦いずれかの菩提寺などで、その寺院の本尊と二人の先祖に対して結婚を誓う式であるといえる。
もちろん、菩提寺以外の寺院で結婚式を挙げることも可能である。


仏前結婚式を選ぶ人は相対的には少ないが、一昔前は普通に仏前で結婚式を挙げることも多かった。
寺院=葬式というのは、限られた一面をすべてと認識してしまっているだけで、本来の意味からいえば寺院という場所は公共施設である。
祭りであっても、寄合いであっても、結婚式であっても、葬式であっても、何を行うにしても相応しい場所なのだということを忘れないでおこう。

仏前結婚式を行う場所

仏前結婚式が執り行われる式場となるのは、たいていは寺院の本堂
新郎新婦の菩提寺ではないというケースは割と存在するが、寺院以外で仏前結婚式を行う例は少ない。
ただ、まったくないわけではなくて、一般的な結婚式場などで仏前結婚式が行われることもある。
通常であれば十字架などが掛かっている場所に、本尊やブッダを描いた掛け軸を掛けるなどといった工夫を凝らすのだが、そのような軸なり仏像なりを保有している式場はほとんど存在しない。
したがって、それらは寺院からの持ち出しとなる。
そういった諸々の条件が整えさえすれば、一般の結婚式場で仏前結婚式を行うことは十分可能である。
必ずしも本堂でなければならないという理由はない。

仏前結婚式の費用

仏前結婚式の場合、寺院方に支払う費用は、概ね会場費と僧侶へのお礼くらいのものである。
その相場は、だいたい20万円くらいである場合が多い。
僧侶へのお礼というのは、結婚式の総責任者にあたる式師という僧侶の他に、司会役1名と手伝い役1名を含めた計3名ほどの合計額となる。


ただし、この費用には衣装代や着付け代、撮影代などの諸々の費用は含まれていない
あくまでも寺院方だけに支払う費用の目安である。
多くの場合、寺院で結婚式を挙げた後に別会場で披露宴が行われるが、それに係る費用もすべて別途となる。

衣装・服装

白無垢と羽織袴が一般的。
新郎が僧侶である場合は衣を着るが、それはまたちょっと別の話になる。
どうしてもウエディングドレスが着たいということであれば、ドレスを着ることは可能である。
ただ、後の披露宴でもドレスを着ることはできるのだから、和風の畳の上では白無垢のほうが似合うのでよいのではないかと、個人的には思っている。
参列者の方々の服装については、一般の結婚式と同様と考えていい。
数珠を持参したほうがいいとする寺院もあるので、そのあたりはケース・バイ・ケース。
詳細については各寺院が教えてくれる。

仏前結婚式の式次第

さて、いよいよ仏前結婚式の内容に入る。
ここに挙げる仏前結婚式の次第は、私が経験したことのある曹洞宗式の一例となる。
宗派によっていくらか違いがあるため、仏前結婚式の概略という意味で紹介したい。

① 新郎新婦入場

  新郎新婦が本堂に入る

② 式師(しきし)入場

  結婚式を執り行う僧侶である式師が入場する。

③ 献香(けんこう)

  式師が仏さまに対して線香を供える。
  新郎新婦が華を供えることもある。

④ 啓白文(けいびゃくもん)奉読

  式師が仏さまに2人の結婚を報告する。
  「啓」とは、口を開き意見を言うこと。「白」とは申し上げること。

⑤ 洒水灌頂(しゃすいかんじょう)

  浄めの儀式。
  式師が浄らかな水を新郎新婦にそそぎ、煩悩を浄め、清浄な存在にする。

⑥ 寿珠授与(じゅずじゅよ)

  仏さまに結婚を誓ったことの証として、式師より新郎新婦にそれぞれ数珠が渡される。
  通常、数珠は「数」の珠と書くが、結婚式の際には「寿」の珠として、めでたい意を含ませる。

⑦ 指輪交換

  新郎新婦が互いの愛情の証である指輪を交換する。
  昔は仏前結婚式に指輪の交換はなかったが、時代の流れで指輪の交換を希望するケースが増加し、今では行う場合がほとんどとなった。

⑧ 三帰礼文(さんきらいもん)

  参列者も含めた全員で「三帰礼文」という短い偈文を読む。

⑨ 誓約文(せいやくもん)

  新郎新婦が、仏さまに対して誓いの言葉を読み上げる。

⑩ 盃事(さかずきごと)

  新郎新婦が三三九度の盃事を交わす。
  その後、かための盃として、参列者全員で盃(酒)をいただく。

⑪ 式師示訓(しきしじくん)

  式師より、新郎新婦へ言葉が述べられる。

⑫ 報恩諷経(ほうおんふぎん)

  本尊、両家先祖などに対して、今日の結婚式を迎えることができたことに感謝し、読経・焼香をして供養する。

⑬ 普同三拝(ふどうさんぱい)

  結婚式が滞りなく相成ったことに感謝し、お礼の礼拝(合掌して頭を下げる)を捧げる。

⑭ 記念撮影

  最後に全員で記念撮影。

所感

以上のような次第で仏前結婚式は進行していく。
時間はだいたい30分くらい。
私はこれまでに仏前結婚式と教会式・人前式の結婚式の両方に何度も出席をしてきたが、その違いについて多少なり思うところがあるので、最後にそれを書いておきたい。


教会式・人前式の結婚式(披露宴ではない)は、一種の「ショー」に近い。
式場も衣装も煌びやかで、神に誓ったり、知人親類の前で誓ったりする姿も、「誓いを見せている」というような感覚を抱く。
突如、後方の扉が開き、父親とともにバージンロードを歩く新婦が、やがて新郎のもとに至って今度は夫婦として歩んでいくという一連の流れなど、まさにショーである。
まあ、そのエンターテイメント性に憧れるわけだが。


一方の仏前式は、地味だ。
体感温度でいうと、教会式の-20℃ほどは地味である。
実際本堂は薄暗く、華やかさもまるで感じられない。
おごそかではあるが、エンターテイメント性はない。
選ばれる数が少ない理由が、厳然たる事実として本堂には存在している。


ただ仏前結婚式では、誓いと同等に「感謝」をテーマにしている点がいい。
結婚という、人生における大きな節目を、ただ誓って祝うのではなく、先祖をはじめとしたあらゆる縁のおかげであると考え、それらに対して感謝をする。
そういった感謝を大きなテーマの1つとして定め、式を行うのが仏前結婚式なのだ。
仏前結婚式のよい点は、三三九度に代表されるおごそかな儀式性と、あらゆる縁に対する感謝の心がテーマとなっていること
私はそんなふうに思っている。
参考までに。