禅の視点 - life -

幸福とは? 自分とは? 自由とは? 人生とは? 心を満たす入口探し、禅エッセイ

禅語エッセイ

【禅語】抜群無益 大衆一如 ~自我を制御するために~

大衆一如であることの意義は、修行僧という存在に成りきることにあるように思う。 「自分」ではなく、「修行僧」に成るという意味だ。 「こうしたい」「あれはしたくない」といった自我を放り捨てて、ただ定められた修行を一心に行う。 水がただひたすら高い…

【禅語】紅炉上一点の雪  ~燃える心に誘惑は近づけない~

赤々と燃えるストーブの上に、ふわりと雪が舞い落ちてきた。 けれどもストーブに触れた瞬間、雪は溶けて水になり、瞬く間に蒸発して消えてしまう。 炎を前にして、雪は為す術もなく消えさっていく。 炎は雪の存在に気付くことすらなく、自分が燃えることだけ…

【禅語】 日々是好日 ~「毎日がよい日」をどう受け取るか~

日々是好日という言葉をどう解釈するかは各人の自由であるが、少なくとも「好日」という言葉を「良い」「悪い」という意味での「よい」と受け取ることだけはやめたほうがいい。 相対的な物の見方は禅のもっとも戒めるところだからである。 これは良くて、あ…

【群盲象を評す】平面的な意見と、立体的な真実の関係

目が見えない盲目の人間が数名集められ、その人たち全員に象を触ってもらった。 当人たちは目が見えないので、当然のことながら象という動物を見たことはない。 そこで、触った感触から象という動物がどのようなものか、感想を述べてもらった。 人々はそれぞ…

【良寛の言葉】災難に遭う時節には災難に遭うがよく候

地震や台風、大雪や噴火。 個人の力などでは到底太刀打ちすることのできない圧倒的強大な自然の力の前に、人は何ができるのか。 どれだけ頭をひねって予防に努めても、自然災害を完全に防ぐことなどできないという不可避性に、災害の恐ろしさを思わずにはい…

【禅語】法食同輪 ~修行でないことが世の中にあるだろうか~

法食同輪という禅語は、法と食、つまり坐禅や読経といった行い(法)と食事を作ったりいただいたりすることに、優劣や上下などないということを言っている。 なんとなく私たちは、「仏道修行」というと坐禅などを思い浮かべ、「食事の仕度」というと裏方仕事…

色即是空の意味を知ったなら、次は空即是色の視点を持とう

色即是空という言葉は、「あらゆるものは空である」といった意味の言葉であり、つまりが般若心経の中核を突く言葉であるといえる。 色即是空を説きたいがために般若心経が存在している、と言ってしまってはやや大袈裟かもしれないが、筋としてはそのようなも…

【禅語】 露堂々 ~真理は目の前にはっきりとあらわれている~

「露」というのは「あらわれる」の意で、したがってこの禅語は「真理ははっきり堂々と目の前にあらわれている」といった意味の言葉である。 草は草としての本分をまっとうしてそこに存在している。 花は花としての本分をまっとうしてそこに存在している。 草…

【禅語】 不立文字 ~文字で真理は悟れない~

禅の教義を端的にあらわす禅語として、不立文字(ふりゅうもんじ)という言葉がある。「文字を立てない」と読むことができるが、これは「文字で真理を説くことはできない」「文字のなかに真理はない」というほどの意味である。 こう書くと文字の軽視と受け取…

【禅語】 木鶏子夜に鳴く ~本物の強さとは何か~

木鶏子夜に鳴く ~本物の強さとは何か~ 木鶏とは、泰然自若とした境地、無心の境地こそ本物の強さだという意味を持つ言葉として広まることとなった。 これをもとに、宋代の禅僧である風穴延沼(ふうけつ・えんしょう)が放った言葉が「木鶏子夜に鳴く」であ…

【禅語】 鳥啼いて山更に幽なり ~静けさを破ることで際立つ静けさ~

風がやみ、木の葉が擦れ合うかすかな音さも聞こえない深い森。 その森から一羽のカラスが鳴き声を上げながら飛び立つ。 途端に静寂が破られて、辺りに鳴き声がこだまする。 カラスが次第に遠ざかるにつれて、鳴き声の余韻も散じるように空に消え入り、山は再…

【禅語】八風吹けども動ぜず ~不動心とは何だろうか~

、「八風吹けども動ぜず」とは、揺れた心がすぐにもとの座標、心の中心点に戻ってくることを言った禅の言葉なのだ。 嬉しければ嬉しいと感じ、心をもとにもどす。 悲しければ悲しみ、心をもとにもどす。 怒るときは怒り、心をもとにもどす。 いつまでも感情…

喝といえば心越興儔と水戸黄門。それから『スラムダンク』。

禅の世界には一字関(いちじかん)とか一転語(いってんご)とか呼ばれる特殊な言葉がある。 一字関(一転語)とは、その一言でもって相手を真理に導く、気付かせる、悟らせるための言葉のこと。 それにはいくつかの種類がある。 なかでももっとも有名な一字…

【禅語】霧の中を行けば覚えざるに衣湿る ~環境から受ける影響~

善い人のそばにいれば、意識せずとも善い影響を受ける。 悪い人のそばにいれば、自ずと悪い方向へと流れていく。 先が見えないような濃い霧のなかを歩いていると、いつの間にか衣服が湿っているように、身を置く環境によって無意識のうちに受ける影響という…

諸悪莫作の解釈 ~七仏通誡偈は簡単そうで奥が深い?~

仏教には七仏通誡偈(しちぶつつうかいげ)と呼ばれる短い偈文がある。七仏というのは仏教の創始者であるブッダ以前に存在したとされる6人の仏と、ブッダを足した7人の仏をいう。この7人の仏は過去七仏(かこしちぶつ)と称され、禅宗ではその名前を日々…

【禅語】無功徳 ~功徳を求めれば功徳なし~

無功徳という禅語は、禅宗の初祖とも称される菩提達磨(ぼだい・だるま)の言葉である。 南インドの香至国(こうしこく)という国の第3王子として生まれた達磨は、やがて出家をして僧となった。そして後年、仏法を説き広めるためにインドを発って中国へと向…

【禅語】 放下着 ~執着はエネルギー源でありストレス源~

捨てる。すると軽やかに生きられる。放下着とはそんな意味の禅語である。 「着」という字は前の言葉の意味を強める助字なので、その字自体に意味はない。 現代でいえば「!」に相当する文字。 つまり「放下」を強める働きをする字なので、放下着という禅語の…

【禅語】 慈眼 ~褒めて伸ばす? 叱って伸ばす?~

慈眼という禅語がある。 この禅語を頭に想い浮かべるとき、私はどこかの書家が言ったという次の言葉を想起する。 「人が書く字には必ず良いところがある。 どんな字にも良いところが必ずある 子どもであっても、大人であっても、それぞれに良さがある。 たと…

【禅語】 柳は緑 花は紅 ~色眼鏡を外した世界を見たくはないか?~

禅では、色眼鏡をはずせということを言う。 色眼鏡とは少々古風な言い方で、これはつまりサングラスのこと。 あれをかけて辺りを眺めると、風景の色合いがまるで違ってくるから面白い。 赤色の眼鏡をかければ、透明な水も赤く見える。 緑色の眼鏡なら、砂漠…

【禅語】 妄想すること莫れ ~比べることで不幸を感じるようになる~

たとえば、こんなようなことを考える人がいたとする。 あっちの人は若くして亡くなったから不幸で、こっちの人は100歳まで生きたから幸せ者だった。 隣の家は高級車に乗っているから幸せで、向かいは車がないから不幸なもんだ。 あの家では牛肉を食べている…

【禅語】 身心 ~イライラを治すなら、心ではなく体に意識を向けたほうがいい~

「禅」という言葉の語源は、インドのサンスクリット語の「ジャーナ」。 意味は、「心を整える」。 けれども心を整えようとするとき、心を整えようとは考えないのが、禅における心の整え方。 「……? 何をわけのわからないことを言っているんだ?」 きっと、意…

【禅語】 一日作さざれば一日食らわず - 錦織圭とイチローと百丈禅師 -

【スポンサーリンク】 (adsbygoogle = window.adsbygoogle || []).push({}); 【禅語】一日作さざれば一日食らわず(いちじつなさざれば いちじつくらわず) インドにおける仏教では、僧侶は自ら食べ物を生産することが固く禁じられていた。 そのため畑を耕し…

【禅語】 担板漢 - 禅における「バカ」とは何を指すのか -

「担板漢!」という禅語は、端的に言えば「バカ者!」というほどの意味。 禅では昔からこのような言葉で修行僧を叱ることがあった。 しかし、不思議には感じないだろうか。どうして「板を担ぐ漢(おとこ)」がお叱りの言葉なのかと。 板を担いだって、別にバ…

【禅語】 両忘 - 頭のなかにある、この頑固な物差し -

意見が衝突したとき、よく起こりはしないだろうか。 「どちらの意見が正しいか」論争。 しかしそれは、問題の解決方法として必ずしも正しいやり方であるとは言い難い。 いかなる場合においても正しい解決方法となるのは「正しい答えとは何か」を考えること。…

【禅語】 悟れば好悪なし - 悟った者と、そうでない者の違い -

ブッダは、悟った人物とそうでない人物の違い、つまり聖者と凡夫の違いについて、矢を用いた喩え話で説明をされたことがあった。 それが、「第一の矢と第二の矢」の話だ。 たとえば、美味しい料理を食べたとする。 その時に抱く「美味しい」という感覚は、悟…

【禅語】 同事 - 相手の立場に立つということの意味 -

同事という禅語がある。 「事を同じくする」と書いて同事と読む。 「事を同じくする」とは、違わないということ。 違わないとは、相手の立場に立つこと。 この「相手の立場に立つ」ということの本質を見事に突いた、私の大好きな話があるので、まずはその話…

【禅語】 下載の清風 - 余計な荷物を背負ってはいないだろうか -

重い荷物を山のように積んだ帆船が港に入る。 そこで積荷をすべて下ろし、軽やかになった船は追風を帆に受けて颯爽と港を出て行く。 船上を吹き抜ける風さえもが、清々しく感じられるような情景。 心に溜め込んだ荷物を下ろすことができれば、心にもそんな清…

【禅語】 魚行きて水濁る - 人にバレなければいいのか? -

魚が水のなかを静かに泳ぐ。 すると水が揺れて、底の土が僅かに舞う。 だから魚の姿が見えなくても、土でかすかに濁った水があれば、その場に魚がいたことがわかってしまう。 事実は消せないという意味の禅語である。 世に悪事は絶えない。 欲望は底が知れな…

【禅語】 無分別 - 比較しない視点、区別しない考え方 -

分別がないようではいけない。 分別ある人間でありなさい。 普通、人はそう言うだろう。 こういう場合はこうしたほうがいい。 あの場合はああしたほうがいい。 そういった思慮判断ができる人間であれという意味である。 しかし禅語では、むしろ人は無分別で…

【禅語】 松樹千年の翠 - 変わり続けるからこそ変わらない -

秋。 山の木々が色づきを増し、ドングリなどの木の実が落ち、賑やかな装いとなる季節。 各地にある紅葉スポットには多くの観光客が足を向けていることだろう。 やがて散りゆくその前に、美しく身を色づかせる木々。 人に誉められたくて紅葉するわけではない…